メイちゃんとチャイ 最終話②
戸塚の夏祭りがもうすぐになった頃。
わたしは、まだ完成もしていないメイちゃんのチャイを出品することを
店長と相談して決め、夏に飲むアイスチャイはさぞ美味しいだろうと、勝手にワクワクした。
メイちゃんにレシピの提出をせかすようになってしまったけれど、締め切りは前進のエンジンになる。
それからメイちゃんは、キャスト(接客)や事務の仕事の合間にチャイを試作して、何度も皆に飲ませてくれた。
そして、毎回、どんどん美味しくなっていった。
きっと、傍観者のわたしたちには見えていない色々が、たくさん混ざってそうなった。
オリジナルのチャイが、完成した。
とても美味しくできた。爽やかなチャイだ。
夏祭り当日。
わたしはこまちカフェでお祭り用の商品の仕込みを終え、初めて商品として並ぶチャイを買って、メイちゃんが働くこよりどうカフェに向かっていた。
お祭りの人混みのなか、だらだらと歩きながらチャイにストローをさして飲む。
ちゃんと冷えている。
、、、おいしいっ、、おいしい!、、、おいしいっっ
いつもわたしが業務を終え、エプロンを外していると「〇〇ちゃん、おつかれ。」と言ってくれるメイちゃんの声が聞こえてくるみたいで、少し早足になる。
こよりどうの裏口を開けると、こよりも忙しかったのかバタバタとしている。キッチンを抜けて、メイちゃんにチャイを渡す。「おいしかったよ!とっても」
「良かった~~。〇〇ちゃん、おつかれ。」と言ってくれる。
メイちゃんのチャイ開発は、渋谷までついて行ったあの日から、わたしの中でひとつの物語として進んでいった。
だけど、子育てをしながらメイちゃんの暮らしの中で少しずつ進んだチャイ開発の物語は、きっとここに書かれていないことのほうが多いだろう。
なんだって、見えないことの方が多い。
メイちゃん、おつかれさま。
ついでに、みんなみんな、あなたもあなたも、あなたも、おつかれさま。